呪われるという生き方
よくテレビの心霊番組で、霊に取りつかれて苦しんでいる映像が流れるが、あれは嘘だ。
霊に取りつかれると超きもちがいいらしい。
取りつかれた人は、何かを悟ったみたいにいつもニコニコして、何事にも動じず、幸せそうに生きることができるらしいのだ。
まさに呪われ得だ。
これは友人の大川(仮名)から聞いた話だ。
深夜0時にバイトを終えた後、大川はバイト友人たち4名で、某神社に肝試しに行った。
そして、車を神社の入り口に停めた。
そこは有名な心霊スポットで、神社の入り口から境内まで山道を30分近く歩かなければならない。
大川たち4人は無事境内にたどり着き、「何にもなかったなー」と話していたが、ふと気付くと友人の1人の田中(仮名)いないことに気付いた。
最初は田中がどっかで立ちションでもしているのだろうと、雑談をして待っていたのだが、10分たっても戻ってこない。
これはおかしいと思い、田中の携帯電話に連絡を取ろうとするが圏外で繋がらない。
そして周囲を捜索するが、田中は見つからない。
ひょっとしたら田中は入り口に戻っているかもしれない。
大川たちはそう思い、一旦神社の入り口まで戻った。
しかし、田中の姿は無く、大川たちは一旦車で近くのホテルまで行き、日が明けたら田中を探すことにした。
早朝、神社の入り口に来ると神社の入り口に白髪の老人が座っていた。
大川は老人に、この辺で、20歳くらいの男性をみなかったかをたずねてみた。
しかし、老人は無反応でうつむいたままであったので、耳が遠いのかなと思い、もう一度大きな声で聞いてみた。
すると老人が大川の方を向いた。
大川はビクっとした。
その老人はなんと、田中だったのだ。
髪は肩まで伸び、白髪になっていたが、確かに田中だ。
田中はニコニコと笑い続け、大川を見つめていた。
幸せそうな顔をして。
以上が、大川から聞いた話だ。
その後、田中はある政府の施設に入れられたという。
そして田中の親族もいつのまにか引越していたそうだ。
もちろん、田中やその家族とは連絡が取れない状態が続いているという。
きっと田中は今もニコニコして幸せそうに暮らしているに違いない。
人生を楽しむのであれば、呪われるというのも一つの選択肢である。